諸説あるとも言われておりますが、平安時代に書かれた「源氏物語」の中で、正月行事のひとつ“歯固め”に「もちひかがみ」として利用されているものがあります。
「歯固め」とは、正月三が日に堅い食品を食べて延命長寿を願って行われる行事です。
この歯固めに「鏡餅」が用いられていたと言われております。
その後、室町時代になると武家社会の中で鏡餅が普及しました。
武家では床の間に具足(鎧兜)を飾り、正月にはその具足に鏡餅を供えていました(そのため鏡餅を、「具足餅」との説も)。正月20日に「具足祝」といってこの具足餅をおろして食べる風習がありました。
これが今でいう「鏡開き」につながるわけですが、もともとは20日に行われていたものが、徳川三代将軍家光の月命日が20日であったことから、それを避け11日に改められました。
このようにもともとは武家の間で行なわれていた習慣だったものが、その後、縁起を大切にする商人の間に広がり一般化していきました。
鏡餅の形は、三種の神器の一つで“知”をもって世の中を治める道具とされた銅鏡の形からきたともされ、また人間の心臓の形をかたどったものとも言われています。上下一体となった形は“お日さま”と“お月さま”を表しているとも、一年という年をめでたく重ねるという意味が込められているとも伝えられています。