和菓子なのに、ごぼう?と思った事はありませんでしょうか。
お正月に花びら餅を食す理由の一つに「歯がため」の儀式の名残があります。
そもそも「歯がため」とは固いものを噛んで、長寿を願う儀式の事です。
歯が丈夫ならば、長生きできると昔の人は考えられてました。
現代のような歯科医療が発達していない時代、自分の歯が抜け落ちてしまったら固いものは食べられず、自然と栄養の吸収が落ち、体力が落ちていく。
だからこそ、年の初めに固いものをしっかり噛んで、まだまだ大丈夫、と自分の寿命を確認したのかもしれません。
もともと、花びら餅のルーツは元はといえば雑煮でした。
その中に「歯がため」のための固いものとして鮎の塩漬けが入ってました。
当時は保存技術が限られているので、自然と塩に漬けたり、干物にすることになります。
それで塩で身がカリカリに締まった固い鮎を噛んでました。
それが江戸時代、砂糖の生産が増え、和菓子文化が花開いた時代、花びら餅はしょっからい雑煮風のものから、甘いスイーツへと変化していきます。
固い鮎は甘く炊いたゴボウに変わるわけです。
当時のゴボウはまだまだ固かったのかもしれませんねえ。
しかしながら今、私たちが口にする花びら餅のゴボウは、とても柔らかく、「歯がため」をついつい忘れてしまいそうな、極上の甘みになっております。
甘くてやわらかなゴボウを口の中で遊ばせながら、歯の健康をしみじみ感じてみるというのも、「花びら餅」の役目。
正月にしか食べられないありがたい和菓子に秘められた、人々の願いを感じてみてはいかがでしょうか。
※参考:旅の鑑定団
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